芒果布甸/Mango pudding



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 ちゅっ、ちゅっ……。


 ほわぉ……。なんだか気持ちいいデス。


 「ぎゃはぁ!くすぐったいデスよー!!!
 わんちゃんってば、やめてくだサイー!」


 「……俺は犬じゃねぇ……」


 「ぎゃぼっ!」






 Virgin Snow 7






 のだめは今朝、とっても気持ちいい夢を見まシタ。


 黒くて、大きなわんちゃんが、のだめにのしかかって、ぺろぺろとのだめの顔を舐めてくれている夢。


 とっても気持ちよくて、くすぐったくて、おもわず声を上げてしまったら、ちょっと不機嫌な顔をした先輩の顔が目の前にあって。


 のだめは死ぬほど驚いて、飛び起きまシタ。


 わんちゃんだと思ってたのは、先輩だったんデスね……。


 「おはよう、のだめ」


 「お、おはようございマス……」








 そうでシタ。昨日、のだめは先輩のお部屋に泊まったのでシタ。


 お風呂上がりのフェロモンむんむんの先輩に、抱きしめられて、キスされて……。


 昨日は生まれて初めてのフレンチキスを経験して、生まれて初めて先輩にのだめのおっぱいを触られて(パジャマの上からだけど)、そして生まれて初めて先輩のベッドで腕枕してもらって朝まで……むっきゃぁぁぁぁ!


 「なに赤い顔してるんだよ?」


 「だって……ぎゃぼっ!」


 真一がのだめの身体に覆いかぶさる。


 照れて、ゆでだこみたいな真っ赤な顔ののだめに、心がほっこり温かくなる。


 「おはようのキスさせて……」


 「はい……」









 真一は優しくついばむようなキスを繰り返した後、ゆっくりと舌を差し込み、のだめの舌を絡みとる。


 徐々に深くなっていくキスに、のだめは真一に強く抱きつき、真一ものだめを抱きしめる。


 しばらくして二人の唇が離れ、強く抱きしめあったまま、呼吸を整えていると、のだめが突然切り出した。


 「先輩……そのぉ……何か硬くて熱いものがあたってるんデスけど……」


 「……うん……それはつまり……その、あれだ……いわゆる俺のペ「ああっ!あれデスねっ?!」」









 なんだろう?この胸騒ぎは?


 のだめの瞳がキラキラと輝いていて、朝の優しい光の中で、最高に可愛いのに。


 それに、この展開はやりようによっては、昨夜から少しずつ進んできた俺たちの関係がまた一歩前進するかもしれないし、コイツも俺と一晩過ごしたことで心境に変化があったのかもしれないし、そんなふうに明るい側面もあると思うのだが。


 しかし、この可愛い変態と、決して短くない付き合いの、俺の本能がなにか危険を察知しているらしい。


 「先輩……のだめお願いがあるんデスけど……」


 きた!
 俺の下で、上目づかいでおねだりをするのだめ。


 この瞳の輝きはとんでもないことを言い出すに違いない。


 真一はごくりと唾を飲み込み、冷静を装うと聞き返した。


 「なんだよ?言ってみろよ……」


 「あのぉ……先輩のソレ、のだめに見せてもらえまセンか?」


 「……ソレって?」


 「そのぉ……今、先輩の中心で硬くなって、のだめの太もものあたりにあたってるソレデス」


 「はぁぁぁっ?!」









 やっぱり可愛くっても変態は変態だ。


 まだキスしかしてない彼氏のモノを見せろと言い出すなんて……。


 俺は呆れて開いた口がふさがらないものの、一応理由を聞いてみることにする。


 理由によっては……いやいやありえない、一応聞いてみるだけ。


 今後のためにも変態の思考を理解するため、一応だ。


 「なんで見せてほしいんだ?」


 「えっ?!なんでって、先輩はのだめの恋人デショ?
 恋人の大事な部分を見て、どんなものなのか確かめておきたいというか……」


 「……」


 ありえない、無邪気すぎる。


 小悪魔にもほどがある。少しお仕置きをしなければ……。









 「じゃあ、ギブアンドテイクだ」


 「はい?」


 「俺のを見たいなら、お前のも見せろ」


 「ぎゃ、ぎゃぼっ!」


 「どうする?俺が先に見せるか?それともお前が先に見てほしいか?」


 「い、いえ、それはその……」


 「自分で脱ぐ?それとも俺が脱がせてもいいか?」


 のだめを仰向けにし、上にのしかかってにやりと笑う真一。


 戸惑うのだめを見て、面白がっているようだ。


 真一からの反撃に戸惑い、言葉を失っていたのだめだったが、ふと思い出したかのように静かに呟く。


 「じゃあ先に、のだめにギブアンドテイクデスよ。
 昨日、先輩のだめのおっぱいに触りまシタよね?
 見せてくれなくていいデスから、のだめにも触らせてくだサイ」


 「えっ!?」









 今度は真一が戸惑う番だった。


 俺のモノを触らせろといって、瞳をキラキラと輝かせるのだめ。


 触ってもらうのは決して嫌ではないし、むしろ願ったり叶ったりというか……。


 ただ、それが恋愛感情からくるセクシャルな欲望によるものではなく、純粋に好奇心からくる無邪気な願望であるのが切ないというか……まあいっか。


 「しょーがねーな、ちょっとだけだぞ?」


 そういって真一は身体を起こすと、ベッドのヘッドボードへ枕を二つ重ね、背中をもたれかける。


 「ふぉぉぉっ!」


 のだめは飛び起きると、真一の腰のあたりに正座して、覗き込んだ。


 「じゃ、いきマスよー」


 のだめが瞳をキラキラさせて手をのばす。


 怖いような、嬉しいような複雑な心境で、真一はのだめの手を迎え入れた。









 「ふぉ?硬いデス……」


 のだめの手がそっと真一のモノに重ねられる。


 「……本番はもっと硬いぞ……」


 「……そデスか……動かしてもいいデスか?」


 「えっ?い、いいけど……」


 のだめの手が上下にゆっくりと動かされる。


 「ふぉ?ぴくぴくしてマスよ?」


 「う、うん……」


 最初は、手の平で上下に摩るだけの動きだったが、のだめは慣れてくると、指を真一のモノに沿わせて扱くように力を入れてきた。


 「うっ……の、のだめ……もういいだろ?」


 「先輩……気持ちいいデスか?」


 徐々に質量と硬さを増してきたのを感じ、のだめはとろんとした目で真一を見つめる。


 「う、うん……」









 ほわぉ……先輩の顔、凄く色っぽいデス。


 のだめが先輩をこんなふうにさせてるんでショウか?


 のだめ、なんだか変デス。


 先輩の熱っぽい目を見つめていたら、身体の中心のあたりがキュンってして……。


 先輩に抱きしめてもらって、キスしてほしいって思う。


 「のだめ……もうやめろ……」


 真一はありったけの理性をかき集めてつぶやくと、のだめの手を掴み、動きを止めさせる。


 「先輩……キスしてくだサイ……」


 恍惚の表情で、のだめは真一の上に跨がると、キスをせがむ。


 真一はのだめを抱き寄せ、キスをせがむのだめの唇に唇を重ねる。


 徐々に激しくなるキス。


 真一はのだめを抱きしめたまま身体を反転させると、そのままのだめの身体をベッドに押し付け、のだめの口内を犯しつづけた。


 








 やめろ、千秋真一。このまま止まらなくなるぞ?


 そんなふうにストップをかけようとする自分と、大丈夫、今ならのだめもその気になって、このまま最後まで行っても自然な流れなんじゃないか?と欲望のままに押し進めようとする自分。


 「んんっ!うぅんっ……」


 ふと、自分の下で苦しそうに眉を寄せるのだめの表情が目に映り、真一は弾かれたようにキスを解いた。


 「……シャワー浴びてくる……」


 真一は逃げるようにバスルームへ。


 のだめは一人ベッドに残され、バスルームから聞こえる水音をぼおっと聞いていた。


 ほわぉ……身体の芯が熱くて、頭がぼぉーっとしマス……。


 のだめ、あのまま処女喪失することになるかと思いまシタ。


 でも……、それでもいいかなって思ったんデス。


 そのくらい先輩のキスが気持ち良くて……。


 先輩は突然、キスをやめてバスルームに行ってしまったケド、どうしたんでショウ?


 のだめ……なにかいけないコトでもしてしまったんでショウか?









 真一は、熱いシャワーを頭から浴びながら、自分の中で高まって、蓄積されて、吐き出すことのできない切ない思いを洗い流してしまおうとしていた。


 人生には、こんなことがある。


 ずっと近くにあって、よく知っていると思っていた、自分にとってはなんてことのない当たり前の場所。


 ある日、ふと踏み込んでみると、そこには想像もしていなかった光景が広がっていた。


 見たこともないような可憐な花が咲いていたり、美しく澄んだ小川のせせらぎが心地よく音を立てていたり。


 でもそれは、その場所のまだほんの入り口で……。


 その奥にはきっと、自分だけが見つけることのできる、真っ白で夢のように美しい秘密の場所がある。


 知っていると思い込んでいたけど、何ひとつ知らなかった自分。


 「くそ……なんなんだよアイツ……」


 洗い流そうとしても、流しさることもできない切ない思いと、猛りおさまることのない自身を持て余し、真一は自分自身で処理するしかなかった。









 バスルームに逃げ込んでしまった気まずさと、その中で行ったことへの気恥ずかしさから、真一は身支度を終えても、しばらくバスルームの鏡の前でぼぉーっと自分の姿を見つめていた。


 「……先輩……」


 「うわぁぁぁぁっ!」


 鏡に映った自分の背後から、のだめがぬっと顔を出す。


 「な、なんだ?どうした?」


 「……それはこっちの台詞デス。
 のだめ、お腹すきました……」


 「……今、仕度するから。お前もシャワー浴びとけ」


 真一はバスルームから出て、嫌でも視界に入る乱れたベッドに小さくため息をつき、キッチンへと向かう。


 bububu……。


 携帯が着信を知らせて震える。


 「……はい、千秋です」


 「ハーイ千秋、デビュー公演はまあまあ成功だったようね?」


 「……おかげさまで」


 「急で悪いんだけど、仕事よ。
 明日からスペインで客演。5日間ばかりだけど。
 これから用意して、すぐ出発してちょうだい」


 「……わかった」


 ちょうどいい。
 俺もアイツから少し離れて、冷静になったほうがいいんだろう。


 そうして気分を切り替えると、真一はお腹を空かせた愛しい恋人のために、朝食の準備にとりかかった。



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