芒果布甸/Mango pudding



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 ザァーーー。


 簡単にバスタブを洗い流すと、俺はのだめのためにお湯の温度を調節して、バスタブに湯を溜めていく。


 ぼぉっとしたままクロゼットにむかい、あの日のために用意していた、リボンのかかった包みを手に、のだめのもとに戻る。


 「のだめ、今バスタブにお湯溜めてるから……」


 「ありがとデス!
 じゃあのだめ、着替えとか持ってきマスね?」


 「あ、これ……よかったら……」


 後手に持っていた包みをのだめに差し出す。


 「これ……ノエルのプレゼントデスか?
 のだめ……先輩に何も用意してなくて……ごめんなサイ」


 「いや、これは……オランダに行ってなかったら、あの日お前に渡そうと思っていたもので……。
 それに……ノエルのプレゼントはもう貰ってるし」


 「え?」


 真一は、のだめの耳元に唇を寄せるとささやく。


 「お前の……はじめて……(爆赤面)」


 「……先輩、照れるくらいなら、言わないでくだサイよ……(真っ赤)」


 「……ごめん……(ベタすぎる台詞に激しく反省)」






 Virgin Snow 17






 「開けてもいいデスか?」


 「あ、ああ……」


 のだめはリボンを解き、乱暴に包みをはいでいくと、中身をとりだし、広げる。


 「むっきゃぁー!あの、キャンドルを買ったお店で、のだめが見てたネグリジェ?!

 先輩、あとで買いにいってくれたんデスか?」


 「う、うん……お前、気に入ってたみたいだし……」


 俺も気に入ってたから……という言葉は飲み込んで。


 のだめは、服の上からネグリジェをあて、俺を見つめる。


 「先輩、どうデスか?
 のだめ、似合いマス?」


 「う、うん……似合うんじゃね?」


 のだめの顔がぱっと花が咲くように微笑む。


 「嬉しいデス!先輩、ありがとうございマス!」


 のだめはネグリジェをあてたまま、嬉しそうにクルクルとまわって見せる。


 「むっきゃぁーーー!
 お姫様ドレスーーー!」


 「わかったから……早く行ってこい」


 「はい……」


 俺に促されると、はしゃいでいたのだめが途端に静かになる。


 俺はもう一度、のだめの耳元に唇を寄せ、つぶやく。


 「お前の全部に触るから。隅から隅まで磨いてこいよ?」


 「ぎゃぼっ!」


 のだめは顔を真っ赤にして、ドアを飛び出していった。









 のだめは今、バスルームで入浴中だ。


 水音に、いろいろ想像して、俺の胸は高鳴り、かなりうるさいが……。


 今のうちに俺はやるべき準備を滞りなく完了させておかなければならない。


 ベッドサイドの一番上の引き出しから、小さな箱を取り出すと、ビニールの封を切り、1つ取り出すとベッドサイドに置く。


 そのまま置いておいたら、アイツ引くかな?


 いや、アイツのことだ、これが何かもわからないだろう。


 いざというときに見つからなくて慌てるなんて目にあうよりは、このまま置いておこう。


 それからティッシュ。真一はティッシュの箱を右手に持ち、重さを確認する。


 大丈夫、中身もタップリ入ってる(満足気)


 しゅっ!


 試しに1枚取り出し、真一はスムーズなティッシュの出具合に合格点を出し、ベッドサイドに置く(さらに満足気)


 のだめに選ばせたアロマキャンドルも用意。


 ベッドサイドと、リビングにもキャンドルを配置する。


 ライターで明かりをつけていくと、のだめが気に入ったワイルドでフルーティーな香りに部屋が満たされる。


 まるで、自分の部屋ではないようだ。









 「ほわぉ……いい匂いデス……」


 いつの間にか、風呂からあがったのだめが、俺のうしろで部屋いっぱいに充満するアロマの香りを吸い込み、香りを楽しんでいた。


 「お前……それじゃ風邪ひくだろ?」


 ノースリーブのネグリジェ一枚で出てきたのだめは……。


 大きく開いた胸元や、袖口から伸びる腕の白さが、キャンドルの光に艶やかに照らされて……。


 「ほ、ほらっ、これでも羽織っておけよ……」


 俺はクローゼットからカーディガンを取り出し、そっけなくのだめに渡す。


 「俺も風呂入ってくるから……。
 冷蔵庫にミネラルウォーター入ってるから、飲んどけよ?」


 「は、はいっ」


 できるだけ、のだめのほうを見ないように、俺はバスルームに逃げ込んだ。
 








 くそっ!たかがネグリジェ姿くらいにやられててどうする?


 真一は頭から熱めのシャワーを勢いよく浴び、気持ちを落ち着かせる。


 ずるいんだよ、いつもはそんなこと想像させないくらい無邪気に振る舞っておいて、あんな格好した途端、色気出しやがって……。


 童顔のくせしてなんだ?あの胸の膨らみは……エロすぎるんだよ!


 がしがしと強めに髪を洗いながら、のだめに対する文句を脳内で叫んでみるが、それはむしろ喜ばしいことだったりする。


 徐々に頬は緩み、顔はにやけてくる。


 きゅっ!


 シャワーを止め、タオルで均整のとれた体を拭き取り、服を身につける。


 鏡を覗き込み、顎を手で摩ってみる。


 「ひげは……剃らなくていいよな?」


 それでも、いつもより入念に歯磨きをして、真一は完璧に身支度を整えると、気合いを入れてバスルームを後にした。
 








 先輩がバスルームにいってしまいまシタ。


 いつもの先輩の部屋のはずなのに、照明が落とされてキャンドルの明かりだけになると、まったく雰囲気が変わってしまって、知らないところにいるみたいでドキドキしマス。


 でも、のだめに選ばせてくれたアロマの香りがとってもいい匂いで、うっとりとリラックスさせてくれマス。


 それに、ベッドルームには大きなクリスマスツリー。


 のだめ、小さい頃からの夢だったんデス。


 天井につくくらいの大きなクリスマスツリーを飾ってノエルを迎えること。


 リュカからの急な呼び出しで中途半端になってた飾り付け……くすっ、先輩ってば文句いいながらも仕上げてくれたんデスね?


 のだめは、見るともなくツリーのまわりを一周してみる。


 「ほえ?これは……」









 かちゃ。


 なんとなく自分の部屋だというのに、遠慮がちに開けるドア。


 そろそろと寝室を抜けリビングに向かうと、のだめが静かにソファーに座っていた。


 「水飲んだか?俺、ビール飲むけど、お前もなんか……」


 「先輩、これ……」


 のだめは手にルビーのネックレスを持っていた。さっそく見つけたらしい。


 俺はまず、キッチンへ向かい、自分のためにビールとのだめのために炭酸水をグラスに注ぎ、ソファーまで運ぶ。


 「ほら、喉かわいてんだろ?」


 グラスをテーブルに置き、ビールのプルトップをあけ、一口喉に流し込む。


 それから、のだめの手からネックレスを掴むと、そのハート型の赤い石を眺めながら俺は話し出した。


 「このネックレスは……上海で買ったんだ。
 自分では気づいてなかったけど、俺はきっとあの時すでに、お前のことが好き だったんだな……」


 ビールをテーブルに置き、あいた手でのだめの頬を包み込む。


 ほんのりと温かく、しっとりと吸い付くような滑らかな肌に目眩がしそうだ。


 「せん……真一クン、のだめ、嬉しいデス……」


 のだめの瞳が潤み、キャンドルの光を受けてキラキラと眩しい。


 俺は吸い寄せられるように、のだめの顔に唇を近づける。


 のだめの瞼が震えながら閉じていき、キャンドルの明かりでまつげが作る影がふるふると小刻みに震えている。


 俺は、のだめをあやすように瞼にキスを落とすと、唇で瞼から鼻筋、頬からこめかみへと、顔中をそっと撫でる。


 のだめの顔が気持ちよさそうに緩んでいくのを感じ、俺は両手でのだめの頬を包み込むと、柔らかい唇へと着地させる。


 ふっくりと柔らかく弾力のある唇が、俺の唇を優しく迎え入れる。


 ちゅっ、ちゅっと何度も音をたてながら、その柔らかさを堪能する。


 唇を舌で舐めて湿らせ、唇でのだめの唇を滑らせて撫でれば、のだめは"はぁっ……"と吐息をはきながら唇を緩める。


 焦らすようにちょっとだけのだめの上唇を吸ってやると、待ち受けていたかのようにのだめの唇が俺の唇に吸い付く。


 徐々に激しくなるのだめの唇の動き。


 俺は、キスに夢中になっているのだめのペースに合わせて、あくまで受け身にまわってみる。


 舌をのだめの口内に差し入れてやれば、のだめの舌が夢中で絡んできた。


 静かなリビングには、俺とのだめのキスが立てる水音だけが響き渡っている。


 しばらく夢中でお互いの唇を貪りあっていたが、さすがに苦しくなったのか、のだめの唇の動きが徐々にペースダウンし、唇がやっと離れた。


 はぁ……はぁ……。


 肩で息をするのだめの髪を落ち着かせるように撫でる。


 「これ、つけてみる?」


 俺はまだ右手にもったままになっていたネックレスをのだめに掲げ、訊ねてみた。


 のだめは嬉しそうに笑うと、こくこくと首を縦に振る。


 「じゃあ、背中向けて?」


 「はい……」


 のだめは大人しく、俺に背を向ける。


 俺は先ほど羽織らせたカーディガンを肩からずらす。


 「のだめ、髪、おさえてて?」


 のだめが腕を後にまわし、首にかかる髪の毛を押さえると、真っ白なうなじが顔を出した。


 日ごろ、目にすることのないそこは、透き通るように白い。俺は、唇を寄せたい気持ちを抑えて、まずはネックレスをのだめの胸元に落とし、留めてやる。


 ほんの一瞬、俺の指先がのだめのうなじに触れた瞬間、のだめはびくっと身体を振るわせた。


 その初々しい仕草に俺はたまらず、唇をうなじに寄せていた。


 「はぁっ……」


 唇で、ネックレスのチェーンが触れている肌を辿り、まだ、腕の途中にひっかかったままのカーディガンを両手でゆっくりと下ろしてゆく。


 むき出しとなった肩から腕にかけても、触れるか触れないかの強さで、唇を這わせてゆく。


 カーディガンをすっかり脱がせ終わると、俺は唇をのだめの耳たぶに這わせ、呟いた。


 「めぐみ……お前がほしい……いい?」


 そしてのだめの両肩を掴んで俺のほうを向かせると、瞳を覗き込む。


 「真一クン……のだめも真一クンの全部が見たいデス……」


 のだめの頬は桃色に染まり、瞳は潤んでいて、言葉どおり俺を求めていることがわかった。


 俺はのだめの手を掴むと、ソファーから立ち上がり、ベッドへと向かった。



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 と、こんなペースで進みます。
 きっと長いです(笑)