芒果布甸/Mango pudding



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 「先輩……のだめのヴァージン、受け取ってもらえマスか?」


 のだめが甘い声でささやく。


 抱きしめた腕の中で桃色に頬を染めたのだめが、潤んだ瞳で真一を見上げている。


 「いいのか?」


 「はい……」


 のだめは返事をすると、恥ずかしそうにうつむき、真一の胸にもう一度顔をうずめる。


 両手におさまる華奢な肩は、小刻みに震えて。


 真一は、震えるのだめをなだめるように、もう一度ぎゅっと抱きしめ、のだめの柔らかな髪に優しくキスを落とした。






 Virgin Snow 11






 やった!俺はやったぞ!


 真一は驚きと喜びに沸き返る幸福感の中、小さくガッツポーズをする。


 その瞬間、真一の時間(とき)は止まり、アパルトマンのいつもの部屋はキラキラと七色に瞬き、脳内には祝福のファンファーレが鳴り響く。


 俺、よく我慢したよな?


 あんなことも、こんなこともして(されて)


 でも、のだめからこんな風に可愛い告白をしてもらえるなら、この1週間のつらかった夜も、いい思い出だよな(じぃーん)


 千秋真一、よく頑張ったっ!(涙)


 俺は今、幸せだぁーーーーっっ!(背景にエンジェルを背負ってます)









 そうとわかれば、もう一分一秒も待っていられるか!


 「のだめ……ベッド行くぞ」


 真一はのだめの手をとり立ち上がると、寝室に向かおうとする。


 「あ、あの……」


 そんな真一の背後から、のだめの小さな声が届き、真一は振り向く。


 「どうした?」


 「……えっと……」


 のだめの表情が翳り、真一から目を逸らす。


 はっ!もしかして俺、がっつき過ぎか?


 いかん、いかん!こんなにガツガツしてたら、さすがにアイツだってひくよな?


 千秋真一、冷静になるんだ。


 お前が興奮して、我を忘れてどうする!


 のだめは初めてなんだ。のだめが緊張しないように、俺がここは落ち着かなければ……。


 真一はぎこちなく笑顔を作ると、のだめを安心させるように、優しくささやく。


 「先にシャワー浴びたいか?
 そうだよな、俺焦っちゃって……ごめん。

 じゃあ、お湯溜めてくるから、ここで待ってて……」


 そういって、のだめの手をほどき、バスルームに行こうとするが、今度はのだめの手が真一を引き止めるように、握られる。


 「いえ、そうじゃなくて……」


 のだめはソファーに座ったまま真一を見上げ、動こうとしない。


 きっと怖いんだな?ここは俺が優しくリードしなければ。


 "一緒に入るか?"


 いやいや!違うだろ?!ヴァージンで初めてで、最初から一緒に風呂はねーだろ!


 "大丈夫、怖くない。俺がお前を女にしてやる"


 いやいや!どこの色男だ?恥ずかしくってそんな台詞言えるか!


 真一がそんなふうに脳内で一人相撲をとっていると、ソファーに座り込んだままののだめが真一から視線を逸らし、気まずそうにつぶやく。


 「ダメ……なんデス……」









 「……だめ?」


 最初は、自分のがっつき加減に恐れをなしたのだめが、恐怖を覚えて怖気づいたのではないかと焦った真一だったが、徐々に落ち着きを取り戻すと、もう一度のだめに訊ねる。


 「のだめ、どうした?」


 「えっと、その……決心はしたのデスが……」


 「うん?」


 「そのぉ……大変言いづらいことなのデスが、ちょっと状況が変わりまシテ、今日は都合が悪いというか……」


 「……ごめん、意味わかんないんだけど……」


 「えと……先輩に差し上げたい気持ちはやまやまなのデスが、身体が無理なんデス……」


 「身体が無理……」


 モジモジとうつむいたまま、はっきりとしないのだめの言葉に、何を言おうとしているのかさすがの真一にも皆目見当がつかず、徐々にイライラを募らせる。


 「のだめ、何が言いたいんだ?
 受け取ってくれって言ったかと思えば、身体が無理って……意味わかんねーよ。
 からかってンのか?」


 「ち、違いマス!そじゃなくて……」


 のだめは口をへの字に曲げ、今にも泣き出しそうな声で呟いた。


 「生理になっちゃったんデスよ、今朝……」









 「あ、ああ……(赤面)」


 「もぉ……やデスよ……恥ずかしい……。
 のだめにこんなこと言わせるなんて、先輩、ひどいデス……」


 「だって、それはお前が……」


 「……ごめんなサイ……」


 「……いや、俺も鈍くてごめん。
 それにこれは、お前が謝ることじゃねーだろ……」


 「だって……先輩ガッカリしてるカラ……」


 「えっ?!(どきっ)
 ま、まぁそうだけど……それはお前のせいじゃねーし……」


 のだめの鋭いツッコミに、気まずい空気が流れる。


 仕方のないことだと理性ではわかっていても、気持ちがついていかない真一は、まだのだめを気遣う言葉をかけることができないでいる。


 そんな中、のだめがふいに顔を上げ、口を開く。


 「でものだめ、ちゃんと決意したこと、先輩に伝えたかったんデス。だから……」


 真一を見つめるのだめは真っ赤な顔で、大きな瞳は潤んで揺れて、今にも涙がこぼれそうで……。


 真一はそんなのだめに愛おしさが溢れ、胸がいっぱいになる。


 もう一度、のだめの隣に座りなおすと、のだめを見つめ、右手でその頬を包むと、優しい微笑が口元に浮かぶ。


 「うん、すげー嬉しい。サンキュ……」









 「そんなことよりお前、生理中にそんな薄着でいいのか?」


 着替えようとしたのだめを引き止めたのは自分のくせに、それを棚に上げ、真一がのだめを咎める。


 「大丈夫デスよー。ちゃあんと毛糸のパンツ、はいてマスから。ほら……」


 ぺろっ。


 のだめは無邪気にワイシャツの裾を捲くり、可愛らしいベビーピンクのニットのパンツを真一に見せる。


 「ばっ!み、見せなくていいんだよっ!
 はぁ、お前って奴は……」


 「むきゃ?先輩、毛糸のパンツにムラムラ?
 さすがむっつりデス……痛っ!痛いデスよー!」









 冷えるといけないからと、お湯をたっぷり入れたバスタブに浸からせ、暖かい格好に着替えさせると、真一はホットチョコレートを作り、のだめに飲ませる。


 「大丈夫か?辛くない?」


 「はい、大丈夫デス!先輩って優しいんデスね……」


 「俺は前から優しいだろ?」


 「そデスか?生理中だからって、こんな風に労わってもらったこと、ないデスよ?」


 「だってそれは……お前が生理中かどうかなんて、彼女じゃない頃は気にしなかったからだろーが」


 のだめはホットチョコレートを両手に抱えてフーフーと冷ましていたのだが、真一の台詞に一瞬固まってしまう。


 「……先輩、彼女ってのだめのことデスよね?」


 「……そうなんじゃない?」


 「むきゃぁーーー!のだめが先輩の彼女だって!」


 そんな些細な一言に、大喜びする可愛い恋人。


 「ばーか……」


 照れて顔を真っ赤にした真一は、捨て台詞を残すとバスルームへ逃げ込んだ。









 二人は、心も身体もぽかぽかに温まって、寝室のベッドの中に抱き合ってもぐりこむ。


 もうすっかり、官能的な空気は消え去ってしまったけど、真一の心もすっかり穏やかに落ち着き、こんな夜も悪くないと思い始めていた。


 のだめを横向きに寝かせ、背中からすっぽりと包むように抱きしめ、洗いたてのいい匂いのする柔かい子猫のような髪に鼻先を埋める。


 「……くすぐったいデスよー」


 「……我慢しろ」


 くすくす……。


 「なぁ……いつまで?」


 「何がデスか?」


 「……生理」


 「……えと……1週間くらい?」


 「はぁ……長げーな……」


 「……我慢してくだサイ」


 「わかってるよ……」





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 いよいよ!って期待してた読者の皆サマ、焦らしプレイでごめんなさい!
 でも、焦らせば焦らすほど、後が燃えるマスから〜。
 それに、こういうケースって、結構多いと思うんですよね?
 って、言い訳ですけど(笑)

 そうです、Sなんです香水は。真一クンを虐めているのが楽しくて仕方がないんです(爆)

香水@鬼