芒果布甸/Mango pudding



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17.機場



 1週間ぶりに香港国際空港へ戻ってきた。
 すでにチェックインは九龍駅で済ませていたので、Ruiものだめもお互いの搭乗時間ぎりぎりまでのんびりと過ごす。


 すっかりお気に入りになった、空港の許留山で念願のマンゴープリン(燕の巣とココナッツアイスの乗った豪華版)を頬張る。


 「ノダメサン、香港の休日はどうだった?」


 「ふがふが……。最高デシたよ!
 Rui、本当に誘ってくれてアリガトゴザイマシタ!」


 のだめは、口いっぱいのマンゴープリンをあわてて飲み込むと、改まってRuiにぴょこんとお辞儀をする。


 才能溢れる世界的なピアニストで、鬼だけどイイ男をフィアンセに持つ妙齢の女性とはとても思えない、そんなのだめの仕草に温かいものを感じながら、Ruiはクスリと笑ってこたえる。


 「こちらこそ、ノダメサンのおかげで大好きな香港をたっぷり楽しめたし、念願のお礼も、ほろ苦い思い出話もできて、私こそ最高だったヨ!ありがとう」


 「絶対、また近いうちに香港にキマス。ごろ太広東語版も手に入れたんで、次回は広東語マスターして、怖いものなしデスよ!」


 またいろいろ教えてくだサイね?と、無邪気な笑顔を向けられ、心地よい優越感と満足感に包まれた。


 なぜこの女性がこんなにも魅力的で、たくさんの友人や音楽界の重鎮たち、そしてあの男の心を捉えるのか、やっと理解できた気がする。


 「ノダメサン、今度はおなじピアニスト仲間っていうだけじゃなくて、一人の友人として香港で逢いまショ?」


 「はいっ!」


 今度会ったときは、Ruiの恋人のこと、教えてくだサイね?といたずらっ子のような笑顔を向けられ、『そのうち……』と照れながら、先に搭乗時間が迫ったRuiが席を立つ。


 「じゃあ、また」


 「はい、またパリで」


 こうして、ピアニストたちの香港での休日は幕を閉じた。









 そのころ、少しでも長く、恋人と一緒の時間を過ごしたいと考えていた千秋真一は、苦手の飛行機で恐怖に震えながら、ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港に到着した。


 いつまでたっても慣れない自分にイラつきながら、もう数時間でひさしぶりに愛しい恋人に逢えると思うと、全身に温かい体温が戻ってくるのを感じる。


 一足先にホテルにチェックインし、軽くシャワーを浴びて、体力気力とも回復すると、携帯に手を伸ばす。


 "SENPAI! KOREKARA HIKO-KI
  NORIMASU.
  16JI TO-CHAKU YOTEI DESU.
  KU-KO-DE AE MASUKA?"


 ベッドサイドに置かれたクロノグラフを身につけ、時計の針が15時を回ったことを確認すると、緩む頬をそのままに、ホテルの部屋をあとにした。





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