芒果布甸/Mango pudding



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マエストロの婚礼 40






 「……というわけで、真一クン、結婚指輪、用意お願いしマス」


 のだめはターニャからの指摘を受け、取り急ぎイタリアの真一に電話する。


 「はぁぁ……、そんな暇ねーよ……。引越しの準備もしなくちゃなんねーのに。
 指輪……、いるか?」


 「いるに決まってるじゃないデスか!!!挙式のときだって、指輪の交換するでショ?

 ……真一クン、もしかして浮気するつもりデスか!?
 独身のふりして、巨乳ギャルをひっかけようっていうんじゃ……」


 「ばっ、馬鹿なこと言ってんじゃねぇ……。

 はぁ……わかったから、今週末、お前がこっち来た時、ローマで選ぼう。ヴィエラ先生の奥様にお店とか聞いとく。

 ……それより、ターニャに教わったメイクって……、あーなるんじゃねーだろうな?」


 「ああなるとは?」


 「だ、だから……、ターニャ的なパープル系コギャル風というか……」


 「ふぉ?そんなことないと思いますケド。
 あ、写メ撮りましたけど、見ます?」


 「う、うん……、一応、確認しとく」


 「じゃ、メールしますねー」


 電話を切って、折り返し届いたメールには、普段ののだめとは一味違う、ナチュラルだけど、きらきらと艶めいたのだめの微笑む写真。


 「……」


 そういえば、俺たちはお互いの写真とか、ツーショットの写真とか、持ってねーんだよな……。


 真一は、"GOUKAKU"とだけ書いたメールをのだめに返すと、画像をひっそりと保存し、思い出すと呼び出しては眺めて、ほくそえむのであった。









 「さ、結婚指輪は今週末選ぶとして、あとはファンタスティックフォー!デスね?」


 「違うってば、サムシングフォーよ!銀河の危機は救わなくていいから、自分たちの危機的な挙式を救いなさいよ!」


 のだめとターニャは下着売り場にやってきていた。
 のだめのウェディングドレスの下につけるブライダルインナーを購入するためだ。


 「ふぉぉ!下着なのに、ドレスのように綺麗デス!」


 「まぁ、そんなに派手なものにすることはないでしょ?
 ビスチェにガーターベルトがついたスリーインワンが便利ね。これ一つで済むから、ずぼらなアンタにはぴったりだし。ガーターストッキングも買って……。

 あとは、サムシングブルー対策でガーターベルトね。」


 「ガーターベルト……もう、さっきのに付いてたんじゃないんデスか?」


 「それはガーターストッキングを止めるものでしょ?

 ウェディングガーターベルトって言ってね、完全に飾りだけのものがあるの。

 それで、花嫁が左足につけていたガーターを花婿が外して、未婚の男性に投げるイベントをするのよ。ブーケトスの男性版ね。
 サムシングブルーは、隠れたところにつけるほうがいいってされているから、一石二鳥なのよ。

 んで、残った右足のガーターをとっておいて、赤ちゃんが生まれたときにヘアバンドとしてつけてあげると、幸せになれるって言われているのよ?ほら、これこれ……」


 ターニャは、のだめをウェディングガーターベルトのコーナーに連れて行く。


 「ほわぉ……。のだめが想像してたのと違いマス……。
 足にはめるだけなんデスね?レースでリボンとかパールとかついてて可愛いデス……」


 「これいいじゃない?コットンのオフホワイトのレースに、ブルーのリボンと、中央についたブルーの小花には小さなパールまでついてて……、赤ちゃんがつけたら可愛いわよぉ、絶対!」


 「で、でも生まれた赤ちゃんが男の子だったら……」


 「まぁ……、一本ずつ売ってるから両足につけなくってもいいのよ?
 でも私だったら両足につけて、女の子が産まれるまで産み続けるわね!」


 「……てゆーか、のだめたちは二人っきりで挙式するから、ブーケトスもガータートスも必要ないのデスが……」








 一通り、結婚式のためのインナーを選び、せっかく来たのだからと、それぞれ普段の下着なども見てまわる。


 「むきゃっ!ターニャってやっぱり下着も派手派手?
 パープルのすけすけデスよ!」


 「うーん……、私は洋服が派手な反動か、下着は白いコットンとかシンプルなのが好きなんだけど、ヤスが意外とエロいというか大人っぽいセクシー系が好きで……って、何いわせんのよ!」


 のだめは、ターニャが手にしていた、パープルすけすけの、やたらと面積の小さいタンガを両手に持ち、広げて見る。


 「ふぉぉ……黒木クン、こういうのが好きなんデスか。
 武士も夜になると、暴れん坊将軍なんデスね……、痛っ!いたいデスよー、ターニャ……」


 「ヤスに言ったら殺すわよ?チアキにも内緒だからね!」


 「い、言いませんよぉ……」


 「はぁ……、絶対"言っちゃだめデスよ!"とか言って、チアキには筒抜けね……」









 「ターニャと黒木クンには、絶対言っちゃだめデスよ?のだめ殺されちゃいマスから……」


 「じゃあ、言わなきゃいーじゃねーか……。
 俺は別にターニャの下着とか、黒木君の下着の趣味のことなんか聞きたくねーんだけど……」


 のだめは週末、イタリア入りした。


 教会へ向かう車の中で、のだめはさっそくターニャとの買い物の報告をする。


 「だってぇ……、夫婦の間に隠しゴトはだめデスもん。のだめ、夫にはなんでも話す、良妻なんデスよ?」


 「そういうのは隠し事っていわねーんだよ……。
 だったら、そのブライダルインナーとやら、ガーターベルトもつけて、今夜見せろよな?」


 「それは駄目デス。結婚初夜までのお楽しみデスよ?」


 「けちのだめ……」


 「むっつり真一……」










 教会に到着する。


 今日は、礼拝のあとに結婚式の予行練習もする予定だから、夜はシモーナの家に寄って、今度こそシモーナの手料理をいただくことになっていた。


 礼拝の前にシモーナに挨拶だけしようと、牧師と挨拶しているシモーナに近づくと、その向かい側にいる日本人女性の顔を見て、俺はわが目を疑った。


 「か、母さん?!」


 「ふぉ?征子ママー!」


 のだめが駆け寄って抱きつく。


 「な、なんで母さんが……」


 「のだめちゃんから、話を聞いたのよ。

 1人息子を助けてくださった教会と恩人にお礼をしに行かなくっちゃと、いてもたってもいられなくなってね。

 今、ちょうどシモーナさんともお話したところのなのよ。
 今日のお食事会、私もご一緒させていただくことにしたから」


 「ふぉぉ!征子ママって、イタリア語もできるんデスか?」


 「ええ、雅之さんと結婚していたころに、夫の役に立てばと思って、英・独・仏・伊……、あとスペイン語と中国語も少し」


 「征子ママって、ほんと奥深いデスね……」









 俺たちは仕方なく、母さんと3人で着席した。


 のだめと母さんは俺なんかお構いなしで、結婚準備のことで盛り上がっている。


 「母さん、どこ泊まるんだよ、今日」


 「ローマにホテルとってあるから。安心しなさいよ、あなたたちの邪魔はしないから」


 「そ、そういう意味じゃぁ……」


 「ぷっ!まったく、大好きなオモチャ取り上げられた子供みたいな顔して……。
 こんなんじゃ、先が思いやられるわね」









 礼拝が終わり、牧師が出入り口で信者たちを見送る。


 真一とのだめは信者席で、その様子を見るともなく眺めて、牧師を待つ。


 征子と牧師が話し込んでいるのを、シモーナが少し離れたところで待っている。


 話が終わり、シモーナと連れ立って帰っていく征子を、牧師はその姿が見えなくなるまで見送り、そっとため息をついてこちらに戻ってきた。


 「……」「……」


 心ここにあらず風な牧師は、真一とのだめのところに戻ってくると、しばらく呆然としたまま、通路を挟んだ並びの信者席に腰を下ろし、祭壇を見上げている。


 「あ、あの……、牧師さま?」


 「チアキ……、マダムセイコは今、お1人でいらっしゃるのですか?」


 「はい……、私が12歳の時に父親と離婚してからずっと1人ですが……」


 「そうですか……。慈愛に満ちた、とても素敵な女性ですね。

 あの……、どなたか心に決めた方がいらっしゃるのでしょうか?
 それとも、別れたご主人のことを、まだ思い続けていらっしゃるのでしょうか?」


 「さ、さぁ……。母とそのようなことについて話したことがないものですから……」


 「あ、あの、牧師サマ?どしまシタ?」


 「ああっ!私はまだ神学を追究し、多くの信者を救わなければならないというのに、今私の心を占めているのは一人の女性の笑顔なのです。
 神よ、罪深い私をお赦しください……」


 「ぎゃぼん……牧師サマ、ふぉーりんらぶ?」


 「……マジかよ……」


 牧師腑抜け状態で、どうなる!のだめと真一の結婚式!(予行練習)


 予想もしなかった展開に、呆然とする真一とのだめであった。




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