芒果布甸/Mango pudding



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ボーイ/ミーツ/ラッキー☆ガール 34






 「じゃあ千秋、来週はマカロンパーティーな? 食事はお前に任せるから。時間は……今日と同じくらいでいいか?」


 「……は? 来週も来るのかよ……」


 「なんだよ? なんか問題あるか?」


 「むきゃ? 千秋先輩だめデスか? のだめ、松田先輩のマカロン、食べてみたいデス……」


 「千秋がだめなら、しょうがないなぁ? マカロンには自信あんだけど」


 「むきゅう……食べたいデス」


 「じゃあ恵ちゃん、俺ん家くる?」


 「え? 松田先輩のお家デスか?」


 「そう、俺ん家でマカロンパーティー」


 なにっ?! のだめが松田の家に行く?


 そんなこと……おい、のだめ、何悩んでんだよっ!


 お前は好きでもない男の部屋に、平気で行くような女なのか?


 「えと……」


 「わかったよ! 俺の家で来週もやればいいんだろっ!
 マカロンパーティーでもマロンパーティーでも、なんでもやってやるよ!」


 「ふぉ? マロンパーティーも素敵デスね?」


 「くっくっくっ……千秋、なに必死になってるんだよ?」

 







 騒がしくのだめと幸久が帰って行った。


 いつものように、のだめのペースに巻き込まれて、振り回されて。


 なんだか納得できないけど……それでも、今日は松田がいてくれて助かったのかもしれない。


 もし、のだめと二人きりだったら、昨日のキスの意味とか悶々と考えて……、きっとぎこちなくなっていただろうから。


 それにしても松田のヤツ、スイーツ作りが趣味で特技だなんて、意外だったな。


 考えてみれば、俺はアイツのことをよく知らないのかもしれない。


 何故だか入学当初から、アイツは俺を目の敵にしているように、やたらとつっかかってくる感じがしたから、俺からは面倒で近づかなかったし。


 でも、アイツの音楽のセンスは認めていたから、もし音高時代にもっといろいろ話をしていたら……俺たちは結構気が合って、もしかすると友人になれたのかもしれないな……。









 幸久は、帰り道を気分よく歩いていた。


 スイーツは当然のことながら大好評だったし、千秋のつくった料理も……まぁ旨かったし。


 音高時代は近づいてもこなかったから、てっきり俺のことは田舎者だと思って、鼻にもひっかけず、馬鹿にしてるのかと思ってたけど……。


 俺のこと褒めてたよな?


 千秋って意外と、人見知りで引っ込み思案なだけなのか?


 それにしても……なんといっても野田恵のピアノだ。


 さっき、あのピアノを聴いてから、俺の身体の中に火がついたように熱いものが渦巻いていて……ひさしぶりに演奏したくなった。


 今も頭の中ではあの個性的な音色が響いていて、嬉しそうに身体を揺らす野田恵の姿が浮かぶ。


 早く家に帰ってピアノが弾きたい。


 野田恵の音色が、俺の中で響いているうちに。
 








 定期公演がおわり、大学生活はまた日常に戻っていった。


 そんななんの変哲もない、ある朝の登校風景の中。


 バババババ……桃ヶ丘音大の上空に、けたたましい爆音が鳴り響く。


 真一はのだめと一緒に登校したところをエロジジイにつかまり、風俗に連れていけとせがまれていたところだったが、突然のことに驚き、上空を見上げた。


 「ん? ヘリコプター?」


 「なにごとでショウ?」


 呆気にとられていたところに、体の大きな外国人がこちらに向かって凄い勢いで走ってくる。


 「ふぉ?」


 「あ、ジジイ。逃げた……」


 このハプニングが、失踪していたシュトレーゼマンを連れ戻すための捕獲劇だったと知ったのは、そのあとのことであった。









 場所は裏軒。


 真一、のだめ、峰、真澄の四人が揃って話題にするのは、突然消えたシュトレーゼマンについて。


 「ミルヒー、失踪してたんデスか?」


 「なんでも桃ヶ丘の理事長は、シュトレーゼマンの初恋の人らしーぞ?」


 「え? それでわざわざ日本まで? 理事長に会うために?」


 「まぁ、会えずに連れ戻されちゃったけどな」


 「はぁぁ……」


 三人が面白おかしく噂話に花を咲かせる中、大きくため息をつくのは真一。


 「千秋、どうした?」


 「……あんなジジイでも、俺にとっては本物の巨匠の指揮を、身近で勉強できる貴重な機会だったのに……俺はこれからどうしたらいいんだよ……」


 「まー千秋、気にすんな! あんなエロジジイいなくても、お前にはSオケがある!」


 「そうですわっ! あんなセクハラ巨匠がいなくったって、千秋様は定期 公演を立派にやり遂げたんですものっ!」


 「……」


 のだめは、がっくりとうなだれて、暗い表情でため息をつく真一を、心配そうに見つめる。


 千秋先輩……やっぱり指揮者になるために、日本から出られないことが辛いんデスね……。


 のだめはどうしたらいいんでショウ?


 なにか……千秋先輩のためにできることはないのでショウか?







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