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ボーイ/ミーツ/ラッキー☆ガール 25 「よ、彩子。ひさしぶりだな?」 「え……どうしてここに。 ドイツじゃなかったの?一時帰国?」 「いや、もう面倒くせーから帰ってきた。 ドイツ、つまんねーし。 生真面目で堅苦しいっていうか……。 やっぱり俺にはもっと華やかなローマ!とかパリ!とかが合ってんだろ?」 「そ、そうね……。 もう真一には会った?」 「いや? ってか、今まで全然忘れてた。 ああ、いたな?千秋真一。 あいつ最近、どうしてんだ? あいかわらず、ちまちまやってんのか?」 「最近は……知ってる?マエストロ・シュトレーゼマンが桃ヶ丘で教えてるの。 どういう経緯かは知らないけど(聞いたけど全く理解できなかった)……真一はシュトレーゼマンの弟子らしいわよ? シュトレーゼマンが選んだメンバーによるSオケの副指揮者ってことらしいわ」 「へぇぇ……。 海外に行けないっていうのに、まだ諦めねーで頑張ってるんだ?」 「そうね……頑張ってるんだと思うわ」 「なんだよ?その他人行儀な感じは?」 「だって……私たちもう別れたし。 真一には好きな子もいるし。 最近、真一が誰と何してるのかなんて、私はよく知らないのよ」 「……へぇ。お前ら、別れたのか」 「もうだいぶ経つわよ? そっか……松田くんが留学したあとだったから。 知らなかった?」 多賀谷彩子。 美人で、歌が上手くて、実家は多賀谷楽器。音高のマドンナ。 ちょっと気が強いのが難点だが、輝かしい未来が待っている俺の相手としては申し分ないと狙ってたのに。 それをアイツが……千秋真一が持っていきやがった。 千秋真一は音高の同級生。 頭脳明晰、眉目秀麗、ヴァイオリンの腕は音高で右に出るやつはいなかった。 黒髪の貴公子キャラが俺様とかぶって、音高での女子人気はアイツのおかげで半々ってとこか? 目の上のたんこぶ。 俺の音高時代は、アイツのおかげでばら色とはいかず。 目障りなんだよ!消えちゃえばいいのに!と思ってた。 でも、アイツが海外に行けない体だって知って。 音楽家を目指す者にとっては致命傷。 なんだ、相手にもならねーのか?可哀想なヤツ。 俺はアイツのことなんか忘れて、海外に留学を決めた。 悪いな千秋。先に行って、もうお前なんか手の届かない高みに上ってやるから。 そう思っていたのに……。 なんなんだよ、お前は! いきなりシュトレーゼマンの弟子って一体……。 もう許さねぇ!お前を立ち上がれないようにしねーと、俺は先に進めねぇ! 「松田くん……いったい何しに戻ってきたのかしら……」 彩子は、突然現れたと思ったら"興味がない"といいつつ、真一のことを聞き終わるなりさっさと立ち去った松田の後ろ姿を、不思議そうに見つめた。 ぶるっ。 「いやだ、悪寒がするわ。風邪かしら……」 松田幸久。 自信満々で野心が強くて。 ちょっと変わり者だけど音楽の才能があって。 人前では全然そんなそぶりは見せなかったけど、裏ではすごく努力していたことを、彩子は知っている。 なんだか知らないけど……真一のこと目の敵にしてるのよね? "千秋の好きな子って……誰だよ?" "え?なに?どうしてそんなこと聞くの?" "いや、別に?千秋に会ったらちょっとからかってやろうと思って" "やめてよね。彼女、初心な子なんだから" でも……私は気付いてしまった。 松田くんはきっと、真一の邪魔をしてやろうと思っているんだって。 私たち、利害が一致してるのかも? "ピアノ科3年の野田恵って子。でもほんと、松田くんが好きなタイプじゃないと思うし、変なことするのやめてよね?" "なんだよ変なことって。俺はそんなに暇じゃねーよ" そういった松田くんの顔……。 何かたくらんでいるような表情だった。 どうして……私はこんなことするような女だったの? 真一……あなたが悪いのよ。 あなたが無神経に、私を傷つけるようなことするから。 だから……私は決して悪くない。 ぶるっ! Sオケの練習が終わり、真一とのだめは二人、学校から家までの道のりを並んで歩いていた。 「ん?どうした?寒いのか?」 「なんだか最近、誰かに見られてるような気がするんデス。 今もそんな感じで……背筋に悪寒が走るような……」 「えっ! 大丈夫かよ?まだエロじじいが諦めてないとか?」 「ほえ?ミルヒデスか? 胸を二度ほど揉まれまシタけど、そのつど正拳突きしてやりまシタから、あれからはないデスね? それに……六本木方面にハーレムを見つけたって喜んでまシタから、最近は全然会ってないデス」 「それでSオケに全然顔ださねーのか……。 って……む、胸!も、も、も、揉まれたぁ?!(白目)」 じぃ……(のだめの胸を見つめる) ゴォォ……。 真一の粘着な怒りに火がついた。 あのエロじじい、今度やったら腕をへし折ってやる! 「じゃ、じゃあ……エロじじいじゃないとして……。 なんか最近、変わった出来事はなかったか?」 「実は……次の仕送り前にお財布が底をつきまシテ……おとといガスが止まりまシタ、ゲハ」 「それはすなわち……2日風呂に入っていないということか?」 「ふおー、さすが千秋先輩、名探偵! は!そいえば、名探偵コナンくんの名前はシンイチくんデスよ!シンイチつながり!」 「それぐらい推理しなくても普通にわかるっつーの! なんだ?コナンって。コナン・ドイルのことか?」 「そですねぇ、コナンくんはシャーロック・ホームズが大好きデスから、それでコナンって名乗ってるんでショウね? そうそう、ぷぷぷ……同じシンイチくんでも、すっごく音痴なんデスよ?なのに絶対音感の持ち主って、おかしいデスよね? あ、コナンくんもヴァイオリンが弾けるんデスよー!すごいっ!他人とは思えまセンね?」 ヴァ、ヴァイオリンだぁ?(のだめ、無意識に真一を刺激) そいつのヴァイオリンに、お前はピアノで伴奏……したのか? めらめら……(燃え上がる嫉妬の炎) 「その男は……一体どこのどいつなんだよっ!」 「はぁ……アニメの話かよ……。 そんなもん、いきいきと話すんじゃねぇ!わかりづらいんだよ!」 「そ、そデスか?のだめにとっては、アニメのコナンくんも大事なお友達というか……ごめんなサイ」 はっ!二次元の男なんかに本気で嫉妬して、死ぬほど恥ずかしくって、ついのだめを怒鳴ってしまった。 「いや……怒鳴ったりしてごめん。 メシ、なんか食べたいものあるか?」 気まずさに、夕飯のリクエストを聞いてみたりして。 「そデスね……ひさしぶりに大っきいマカロニ、食べたいデス!」 「ミレリーゲか……あったかな?」 「なんでもいいデスよー!千秋先輩のごはん、なんでも美味しいデスからー」 ドワーーーーーーッ!(ひさびさのドーパミン放出) 「それより……ごはん食べたら、お風呂も貸してくだサイ(上目遣い)」 「えっ! しょ、しょーがねーなぁ……(その目で訴えるのやめてくれ)」 「むきゃっ!先輩の美味しいゴハンに、先輩の清潔なおふろでひさびさの湯船……のだめ、幸せデス……」 「仕送り来たら、ガス代払えよっ!」 「はぁーい!」 「ったく……食費が浮いてんのに、何に金つかってんだよ……(ごろ太とかごろ太とかごろ太?)」 ささやかな幸せに嬉しそうに笑うのだめと、小言を言いながらもなんだか楽しそうな真一。 そんなふたりがマンションの階段を上がり、一つの部屋のドアに消えていくのを、そっと物陰から盗み見る男がひとり。 「なんだよあの女。 アニメ好きのオタク女か?メシだの風呂だの千秋にたかって……貧乏そうだし。 千秋……女の趣味変わったのか? それになんだか……楽しそうだし。 わけわかんねーよ……」 敵情視察におとずれたものの、留学前とはすっかり様子が変わってしまった真一の様子に混乱し、松田は途方にくれていた。 「どうしたもんかな……」 真一のマンションの部屋を見上げ、松田はそっとため息をついた。 26へ> いよいよ真一クンの強力なライバル(となる予定)の松田くんが登場です。 そうです、松田くんは松田幸久という名前ですが、あの大人な人ではありません、断じて違います(笑) 真一クンの同級生、21歳松田幸久くん、桃ヶ丘音大の指揮科を休学し、ドイツに留学していましたが、このたび復学することになりました。 のだめちゃんと真一クンの恋のスパイスとして、真一クンに匹敵するくらい、いい男でキャラの強い人がほしい!ということで周囲を見渡してみたのですが、残念ながら峰くんや黒木くん、大河内くんでは香水的に物足りなかったものですから……(生意気言ってごめんなさい) かなり無理やりですが、あの方に激しく似ている真一クンの同級生というオリキャラに登場していただきました。 なにとぞ皆さまのご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。 |