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ボーイ/ミーツ/ラッキー☆ガール 17 「おい、大丈夫かよ……。 ったく、ビール2、3杯で、フラフラしやがって」 「だってー、久しぶりに千秋先輩とお話しできたし、真澄ちゃんや峰くんともお友達になれたし、すっごく楽しかったんデスもん!」 「そ、そか……」 俺も、のだめと久しぶりに……こうして二人で並んで歩いてるなんて……すっげーうれしい!(心の叫び) 「それに……ぷぷぷ、千秋先輩だって、すっごく面白かったデスよ?」 「な、なにがだよ?」 「ぷぷぷ……」 俺はやっと、のだめに謝って、許してもらうことができた。 また友達からやり直しだけど……。 それでいい。 俺はまず、自分のことを頑張るって決めたから。 「じゃあ、アイツらも呼んで、一緒にメシにするか?」 「はいっ!千秋先輩に真澄ちゃんのこと紹介したいデス! ティンパニーがすんごく上手なんデスよ?」 「へぇー。俺も紹介したい奴いる。 お前とすげー気が合いそうな奴」 「ふぉぉ!」 こうして、4人は初めて同じテーブルの席についた。 「お、お、お、奥山真澄ですっ、管弦楽科3年、Aオケでティンパニーやってますっ!ま、真澄って呼んでくださいっ!」 「へぇーAオケか、すごいな。 のだめがティンパニーがすごく上手だっていってたけど……ピアノののだめとティンパニーの君がなんで知り合ったんだ?」 「そ、そ、それは……」 「愛の勝負デスよ!ね?真澄ちゃん?」 「はぁ?なんだそれ……」 「それより先輩、こちらは?」 「あ、ヴァイオリン科の峰、お前と同じ2年だ。 今度、こいつの伴奏することになって」 「ふぉぉ!曲はなんデスか?」 「ベートーヴェンの春」 「おい!彼女のこと、俺にも紹介してくれよ!」 「あ、ああ……ピアノ科2年、野田恵だ」 「峰クン、はじめマシテ。よろしくお願いしマス!」 「おー!よろしくな☆ 恵ちゃんかぁー、可愛いよな!」 なっ! 峰のやつ……気安くファーストネームで呼びやがって……。 お、俺だって呼んだことねーのに……。 「ぎゃはぁ!なにやら照れマスね。 のだめでいいデスよ?みんなのだめのことはそう呼ぶし」 「えー、俺、女の子のことは、名前で呼びたいんだよなぁー……ひぃぃっ!」 ぞくぞくっ! 峰は、真一からの黒オーラに、背筋か凍りつくような恐怖を感じる。 「どかしまシタ?」 「い、いや……じゃ、じゃあのだめって呼ばせてもらうな?」 「はいっ、よろしくデス!」 「真澄ちゃんとのだめはもう食事は済ませたんだっけ?」 「はいっ!峰くんちのマーボ、最高でシタ!」 「だろーーーっ!のだめ、お前は俺のソウルメイトだっ!いつでも好きなだけ、ただで食わせてやるから!(さくっと餌付け完了)」 「ふぉー!ほんとデスか?峰クン、大好きデス!」 がばっ! 峰に抱きつくのだめ。 のだめから抱きつかれて、まんざらでもなかった峰だったが……。 「ひぃぃっ!」 ばっ! またも、真一の黒オーラに耐え切れず、慌ててのだめを引きはがす。 「はぁ……(全てが読み取れてしまい、疲労困憊の真澄) 私とのだめは食事はもういいから、龍ちゃんとち、ち、千秋様、お食事してください?」 「わかった!ビールとつまみくらいは食べれんだろ?」 「そうね」 「親父ぃー!とりあえずビールとつまみくれ!」 「あいよー!」 カウンター越しに返事をする龍見は、息子が友達と楽しそうにしているのが自分のことのように嬉しくて、威勢良く返事をすると、手早くつまみを用意し始める。 「千秋もビール、飲むよな?飯はどうする? なんでも好きなもん食っていいぞ!」 「う、うん……」 おどおど……。 こういう店って……初めてなんだよな。 なにを頼めばいいんだろう? 「先輩?どしまシタ?」 「ん?千秋、遠慮するなよ?」 「え?あーうー……」 「もしかして千秋……好き嫌い多いのか?」 「ち、違うっ!」 「はっ!もしかして千秋様……こんな庶民的なお店にいらっしゃるの初めてだから、なに頼めばいいのかわからないとか?」 「あー、ありえマスね。 先輩の作る料理、たしかに裏軒メニューとはかぶりまセンもん」 「えっ!まじかよ、どんなお坊ちゃんだよー!」 「す、素敵だわ!真澄は今、千秋様の初体験という歴史的瞬間に立ち会っているのねっ」 「先輩?大丈夫デスか?」 う、うるさいっ! どいつもこいつも、俺様のことを馬鹿にしやがって! 俺だって庶民的なメニューくらい……。 「く、クラブハウスサンド!(やけっぱち)」 「ぷぷぷ……」 「まぁ……ぷっ」 「ち、千秋お前……くっくっくっ」 「な、なんだよ!なんでも頼んでいいって言っただろ?」 「おう、俺の親父はなんでも作れるぞ。 千秋は俺の留年の危機を救ってくれる救世主だから、これからは千秋専用の特別メニューにしておく!」 「じゃあな、千秋!また明日、レッスン頼むよー」 「ちゃんとCD聴いておけよ?」 「真澄ちゃん、まったねー!」 「う、うるさいわねっ、誰がアンタなんかと……」 「あ、真澄……、さっきはありがとな。のだめのこと……」 「うっ……千秋様が私なんかにお礼を言ってくださるなんて……。 真澄っ、幸せですっ!」 「うわっ、や、やめっ!だ、抱きつくなっ!」 真一に力いっぱいひっぺがされても、真澄は幸せそうで。 「のだめのお陰デスよ?真澄ちゃんっ!」 「……う、うるさい」 真一はのだめと久しぶりに、自宅への道を並んで歩いていた。 のだめは酒が弱いみたいで、フラフラと危なっかしい。 「ほら、あぶねーから、つかまっとけ」 「ふぉ?ありがとデス……」 久しぶりに、俺の腕に絡まるのだめの腕。 「なぁ……これから、俺の部屋でピアノ弾いてくれない?」 「ぷぷ、のだめのピアノ、聞きたいデスか?」 「……うん、すげー聞きたい。 俺、のだめのピアノ中毒だから(酔っ払いのため素直)」 「ふぉー、中毒?」 「うん……1週間以上聴いてないから、禁断症状でるかも」 「じゃあ、しょうがないから聴かせてあげマス!」 「……えらそーだな」 「ふふん、先輩がお願いしたんデスからね?」 「……くそ」 酔ってふらつくのだめをからかうように、マンションのエントランスに着くと、俺はのだめの腕をふりきって、階段を駆け上がった。 「あっ!先輩、ずるいっ! 待ってくだサイーーーっ!」 たぶん、俺は……のだめに俺のことを追いかけてほしかったんだ。 「待たねぇ! 追いつけないやつは、夜食のお茶漬けはなしだ!」 「むきゃぁーーーーっ! そんな意地悪するなら、ピアノ弾きまセンよー!」 じゃれあうように、マンションの階段を駆け上がる。 もちろん、勝ったのは俺だけど……。 「先輩、ひどいーっ!」 どーんっ! 追いかけてきたのだめが、俺の背中に抱きつく。 あ、ああ……(むぎゅ) そんな、最高に楽しくて、ふわふわとした幸せな夜だったのに……。 「げ、彩子……」 「ふぉ?戦友サン?」 俺の部屋のドアの前には、不機嫌な顔をした彩子が立ちはだかっていた。 18へ> |