芒果布甸/Mango pudding



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ボーイ/ミーツ/ラッキー☆ガール 05






 「の、野田さん?!」


 ドワーーーーーッ!(千秋脳内にドーパミン大量放出中)


 俺……彼女に会いたくて……。


 会いたくて会いたくて……幻影でも見てるのだろうか?


 ぎゅっ!(ほっぺたをつねってみた)


 「痛っ!」


 「ぎゃぼっ!先輩、ど、どしました?」


 「の、野田さん……どうしてここに?」


 「えと……もしかしてそこは、千秋先輩のお家デスか?」


 「そ、そうだけど……」


 「むきゃっ!」


 実は……ちょっと気になってるんだけど、"ぎゃぼ!"とか"むきゃっ!"とか、野田さんって変わった声出すよな……。


 か、可愛いけど……(あばたもえくぼ)


 彼女は、驚いたように声を上げたあと、いたずらっ子のような微笑を浮かべて駆け寄ってくると、俺の腕を掴んでひっぱる。


 「え?え?」


 「隣の部屋。見てくだサイ?」


 「え?ええーっ!?」


 俺のとなりの部屋、表札には不恰好な文字で"野田☆"と書かれてあった。









 「驚いたな……俺たち隣同士だったのか」


 「ぎゃはぁ!何やらご縁がありマスね?」


 縁?……いやむしろこれは……運命なんじゃないだろうか。


 だって、俺の心臓はバクバクと早鐘のように打ち、脳内には鐘の音が鳴り響いているのだから。


 さっきまで、もしかしたら二度と会えないんじゃないか、避けられているんじゃないかと思っていた相手が、今、俺の目の前にいる。


 「あの……今日はレッスン室、来なかった?」


 「えと……今日は授業が午前中だけだったので、お友達とお買い物に行ってまシタ」


 「そ、そっか……」


 「ぎゃぼ!も、もしかして先輩、待っててくれまシタ?」


 「う、うん……野田さんに渡したいものがあって……」


 真一はかばんの中から楽譜を取り出すと、のだめに手渡した。


 「……これは?」


 「昨日聞かせてくれたオリジナル曲。あれから譜面に書き起こしてみたんだ」


 「え?あの曲デスか?」


 「う、うん……」


 彼女は楽譜を開くと、ふぉぉーとかって声を上げて驚いてる。


 「しゅ、しゅごいデス。これ、のだめに?」


 「うん……よかったら……」


 彼女は楽譜を胸に抱きしめるとキラキラした瞳で俺を見上げ、満面の笑顔をつくる。


 「嬉しいデス!ありがとございマス!」


 あああっっっ!
 ダメだ、こんな無邪気な笑顔で喜ばれて、勝てるわけがない。


 俺は心の中で白旗を上げた。




 野田さんっ、好きだっっ!(心の叫び)




 「あ、あの……昨日はご馳走するっていったのに、あんなことになっちゃって……ごめん」


 「いいえー、大丈夫デスよ?
 あの時だって、急な話だったんデスから。そんなに気にしないでくだサイ?」


 「う、うん……。

 それから、あの、彩……昨日の彼女と俺はなんでもないから……(なくはないだろう)」


 「へ?そなんデスか?
 お二人とも、美男美女でお似合いだと思ったのデスが……」


 「いやっ!全然なんとも思ってない!
 音高のクラスメートで、なんていうか戦友みたいな?」


 「ふぉー戦友……、戦ったんデスね?」


 「へ?ま、まぁ……(面倒なので適当にあわせる)」








 「あの……それじゃあ、楽譜ありがとうございまシタ」


 「う、うん……」


 どうしよう……折角会えたのに……。


 もっと一緒にいたい。


 彼女のこと、もっと知りたいし……。


 真一の視界の中でスローモーションのように、のだめがバッグから鍵を取り出し、部屋のドアを開けようとしているのが見える。


 どうする?千秋真一?!


 このまま黙って見送るのか?


 「あ、あ、あのっ!」


 「はい?」


 「今日は、もう……夕食は済ませた?」


 「え?」


 「もし、まだ済ませてないんだったら……昨日の約束、果たしたいんだけど……」


 「えと……お友達と帰りに食事するつもりだったんデスけど、思いがけないお宝(ごろ太)に遭遇してしまいまシテ。

 想定外の出費が出たので、とても食事をするような予算がなくなってしまったものデスから……。

 実はのだめ、お腹と背中がくっつきそうなくらい、空腹状態デス、ゲハ」


 ドワーーーーーッ!(二度目のドーパミン放出中)


 神様、ありがとうっっ!


 なんだかしらないけど……そのお宝というものに、ナイスなアシストを感謝だ!


 ここで決めなくて、どこで決めるんだ?千秋真一。


 「あのっ!
 た、大したものは作れないけど……俺の手料理でよければ、これからどうかな?」


 「え……手料理って、千秋先輩のお部屋で……ってことデスか?」


 彼女が、少し驚いたような表情で、俺を見上げている。


 はっ!


 いきなり部屋に誘ったのか、俺?!
 今の発言は、そ、そういうことかっ?!(パニック中)


 そそそそそういうつもりじゃなかったのにっ!
 い、いかん!焦りのあまり、とんでもないことを言ってしまった?


 彼女、引いちゃったよな?
 いきなり部屋に誘う男なんて……(鬱)


 いやいやいや!だ、だめだっ!
 これくらいのことで落ち込んでる場合じゃないぞ、俺!


 早く態勢を整えて、次の攻撃を……。


 「あ、あのっ、別に他意はないんだ。
 俺はいつも自炊してるから、とてもお腹がすいているようであればと思っただけで……。

 い、いきなり知り合って間もない男の部屋じゃ、抵抗があるよな?
 そうだな……駅前にちょっと美味しい洋食屋があるから、そこにしようか?

 あっ!でもっ!お、俺が部屋でっていったのは、本当に何か下心があるとか、そんなんじゃなくて……(ボロボロ)」


 「へ?構わないデスよ?
 先輩のお部屋でも(さらり)

 ていうか、のだめ本当にお腹すいてて……。
 どちらかというと、先輩の手料理に惹かれマス(ロスタイム的に)

 ……だめデスか?」


 彼女は、ちょっと照れたように頬を染めて、小首をかしげ、上目遣いで俺を見つめた。


 お腹のあたりに、ちょこんと手を添えて……(空腹をアピール?)


 ドワーーーーーッ!(ドーパミンとかいろいろ大量に放出中)


 全然だめじゃないですっっ!!!


 「そ、そぉ?

 じゃあ、大したものは作れないけど……。
 俺の部屋、来る?(さらり)」


 「はいっ!お願いしマス!」


 ああっっ!もうっ!この感情は……。






 俺 は 恋 に お ち た か も し れ な い





 がちゃがちゃ。


 部屋の鍵をあけ、ドアノブを回す手が震える。


 ああ、ちゃんと掃除しておいてよかった。


 冷蔵庫、何があったかな?


 お腹が空いてるって言ってたから……手早くできるイタリアン、パスタかなんかにするか。


 女子はイタリアンが好きだって、世間では言われてるみたいだしな。


 まぁ、なんでもそつなく作れる俺だけど、イタリアンは超得意だし。


 玄関先で靴を脱ぎながら、脳は高速で情報解析中。


 「どうぞ?」


 玄関先にスリッパをそろえて出し、のだめに部屋に上がるよう促す。


 「おじゃましマス……」


 のだめが靴を脱ぎ、部屋に上がりこむのを、じっと息をこらして見つめる真一。


 それはまるで、仕掛けた罠に獲物がかかる様を、期待をこめて見届けるハンターのような(笑)


 「どかしまシタ?」


 「い、いやっ?!
 じゃあ、俺ちゃっちゃと作っちゃうから、リビングで待ってて?」


 「はーい……」


 がたん。


 真一の部屋のドアが閉まる。


 それはまるで、恋の始まりを予感させるような甘美な響きをもって、真一の耳に届いた。






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 やっと乗ってきました(笑)
 真一クン、のだめに3日で陥落?!

 脳内にドーパミンが分泌されるのは、好きな人に会うといった嬉しいことを感じたときだそうです。
 ドーパミンは快感を増幅させる物質で、大量に分泌されるとハイ状態に。まさに今回の真一クン状態ですね(笑)