芒果布甸/Mango pudding



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諦め






 ショパン エチュード 10-3「別れの曲」


 のだめの奏でるピアノの音が消える。


 真一はソファーから立ち上がり、のだめの背後に立つと、後からそっと優しく抱きしめた。


 「真一クン……」


 「俺……、これ以上続ける自信ない……」


 真一はのだめを抱きしめたまま、のだめの背中には、真一の体温と、微かな震えが伝わってくる。


 「真一クン……」


 「どうしてこんなことになっちまったのかな?
俺、自信あったんだけどな……」


 「真一クンは何も悪くないデスよ……」


 ピアノ横にある両開きの窓は開け放たれ、ゆらゆらと風に揺れるカーテンの隙間から、湿気を帯びた空気と一緒に、アパルトマンの一室から悲しいバイオリンの音色が聞こえる。


 「いや、俺が悪いんだ。
俺が耐えるべきだったんだよ……」


 「……やめて、真一クン。
もう、これ以上、自分のこと、責めないでくだサイ。


 先輩は、いつだって俺様で、自信過剰で、横暴で、カズオだったじゃないデスか……」


 「オイ……。それいい過ぎじゃね?」


 「イイエ。のだめの言っていることは、100%正しいと思いマス。神様に誓って」


 「お前……、俺に喧嘩うってンのか?」


 「喧嘩デスか?売られた喧嘩は買いますよ!かかってこいってんデスよ!!!」


 「なにぃ?!」


 「むっきゃあーーーー!」


 のだめの胸ぐらを掴み、天高く持ち上げる千秋(オイ)


 力いっぱい伸ばした腕を、ブンブンとふりまわす世界的ピアニストNODAME(商売道具は大事にしてね)


 「だぁーーーーー!」


 「むきぃーーーー!」


 くんずほぐれつ、双方一歩もひかないぶつかり合いで、もみくちゃになって、リビングの床にごろごろと転がる二人。


 「はぁはぁ……」


 「ぜぃぜぃ……」


 ごろーん。


 あまりのアホらしさに、もつれた身体をふりほどき、お互いに仰向けになって、天井を見上げる。


 「真一クン……」


 「ん?」


 「お願いデスから、もう無駄な抵抗はやめてくだサイ」


 「……」


 「禁煙は、またの機会にということで……」


 「……」


 千秋真一、高い鼻がぽっきりと折れた、ある日の午後。









2010.9.18拍手お礼文としてup。
禁煙シリーズ三部作、完結w


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