芒果布甸/Mango pudding



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holic






 真一クンが禁煙を始めて二日目。


 目覚めはとってもよかったみたいデス。
空気がうまいっ!って、ちょっとオヤジみたいデス、ぷぷぷ。


 はりきって朝のランニングに出かけて行きまシタ。
ランニング帰りに、焼きたてのパンと新鮮なフルーツを買ってきて、鼻歌なんか歌いながら、ごきげんで朝食を準備する真一クン。


 朝食もうまいっ!って、やけにハイテンションなのが気になりマス……。


 のだめは日課の指ならし。


 いつもならこの時間、真一クンはピアノ横の窓辺に立ち、コーヒーを飲みながら食後の一服をするところですが……。


 いつものコースをたどっていた真一クンの動きが止まる。

 ああ、無意識にタバコをとりにいこうとしたみたいデス。


 がっくりと肩を落として、いつもの窓辺はやめて、ソファーに座ることにしたみたいです。


 大丈夫……デスかね?









 思い出してしまった。無意識って恐ろしい。


 1日タバコを抜いただけで、身体の細胞が生まれ変わったように目覚めはすっきり、ランニングをしていても、いつもより呼吸も楽に、ピッチが上がっている気がする。


 ご機嫌で帰宅し、朝食を食べれば、いつものパンも、フルーツも数段美味く感じる。


 やればできるじゃねーか、俺。


 のだめの音遊びのような指鳴らしのピアノを聴きながら、いつものようにコーヒーを手に窓辺に向かいながら、俺は無意識にタバコを吸おうとしていることに気付く。


 「チッ!」


 あらゆることに腹が立つ。


 さっきまで気分よく過ごせていたのに、俺は何かに依存することも依存されることもないはずなのに……。


 悔しい。タバコごときに、この俺様が負けてたまるかっ。









 真一クンの様子がおかしい。


 赤いソファーの上で、両足を抱え込んで、頭を膝にくっつけて、さっきからぶつぶつと呟きながら、身体を前後に揺らしている。


 「ぎゃぼっ!」


 のだめは鍵盤から指をはずし、ピアノチェアから立ち上がると、ソファーの上で丸まって震える真一の上に覆いかぶさった


 「ぐえっ!お前重い……」


 「真一クン……、禁断症状?」


 「お、俺はタバコ中毒じゃねぇ!」


 あ、タバコって言った……。
両者に緊張が走る。


 「の、のだめ、タバコなんて言ってませんヨ?
だいたい、真一クンは音楽中毒でショ?」


 「音楽中毒じゃねぇ。音楽家だっ!」


 「じゃあ……おっぱ「殺すぞ……」」





 「じゃあ……のだめ中毒?のだめ禁断症状デスか?」




 ぴたり。


 真一クンの震えが止まる。


 「ぎゃぼっ!」


 突然起き上がった真一に振り落とされたのだめは、いつの間にかソファーに寝転がる体勢になっていた。


 覆いかぶさって、近づいてくる真一の顔。


 「そうかもな……」


 まだ昼前、いつもならのだめの音遊びが続く時間にもかかわらず、その日、のだめの部屋からピアノの音はしばらく聞こえることはなかった。









2010.9.15拍手お礼文としてup。
禁煙シリーズ、続編w


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