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のだめから誘われた。 しかも真っ昼間、パリの街中で。 ランチの予定だったのに、早く二人きりになりたいと、カフェから引きずり出されて。 ……まぁ、悪い気はしない。 なんだかやけに興奮して、そのまま俺の部屋になだれ込んで、貪りあうように抱き合った。 言葉もなく、優しい愛撫もなく、ただお互い求めるまま、求められるままに。 俺の部屋の大きな窓からは明るい日差しが降り注いでいて、それはピアノ越しにベッドにも遠慮なく差し込んでいる。 何ひとつ身につけていないのだめの身体を、おしげもなく見せつけられて。 のだめはぎゅっと瞳をつむったまま、緩く開かれた唇からは、絶えず快感を伝える声を上げている。 俺の上に乗せて、したいようにさせていたけど、だんだんと自分の身体を支えきれなくなったアイツの動きがとまりがちになったところで、ベッドに押し倒す。 「のだめ……俺の名前、言って?」 真一クン、真一クンと繰り返すのだめの声を脳内に響かせながら一気に登りつめると、俺はぐったりとのだめの上に体を投げ出した。 on the bed 「先輩、おなかがすきまシタ……」 「……終わった途端にそれかよ……」 さっきまで色っぽい声を上げていたくせに、さらっとそんなことを言って、俺のいやみにもぺろっと舌を出して笑う。 「だって……すくモンはすくんデスもん。仕方ないデショ?」 「……やりたいモンはやりたいしな?」 「……のだめ、なんか探してきマス。先輩、これ貸してくだサイ?」 よっぽど腹が減ってるらしい。 のだめは俺のシャツを羽織ると、キッチンに向かう。 「バゲットと……冷蔵庫にレバーのパテがある」 「むきゃ? 美味しそうデスー! 先輩もこっちきて食べマス?」 「めんどくせー。こっち持ってきて?」 俺の返事に驚いたのか、のだめがひょっこりと顔を出して俺を見る。 「なんだよ?」 「ベッドで食べるなんて……汚れるって怒られるかと……」 「どーせ汚れてるし。ついでだからいい」 「ぎゃぼ……」 のだめから渡されたミネラルウォーターを、ボトルの口から飲む。 行儀は褒められたものじゃないが、ベッドに寝転んだまま、パテの塗られたバゲットを頬張る。 残りの一切れを口に放り込み、つまんでいた指を舐めて、もう一度ボトルに口をあて、ごくごくと一気に飲み干す。 視線を感じてのだめのほうに顔を向けると、俺のことを不思議そうに見ているのだめと目が合った。 「……なんだよ?」 「イエ? なんデモ?」 のだめに覆いかぶさり、力いっぱい抱きしめて問い詰める。 「ぎゃぼっ! く、苦しいデスよ……」 「言いたいことがあるなら言え……」 「ギブっ! せんぱっ、ギブデスー!」 「言うか?」 「わかりまシタっ、言いますカラ、放してくだサイー!」 腕の力を緩めると、のだめが呼吸を整えながら口を開いた。 「えと……今日みたいな先輩、めずらしいなと思って」 「今日みたいな……って?」 「えと……ベッドに寝転がったまま食事するとか……ワイルドな真一クンも素敵だなぁと……」 「ふうーん……」 ベッドに寝転がって、天井を仰ぐ。 黙りこんでいたら、のだめがもぞもぞと寄り添ってきて、俺の腕の中にもぐりこんできた。 「真一クン……のだめ、ちゃんと真一クンのこと、好きデスよ?」 「……」 「ずっと好きデスから……」 「この前……好きじゃなくなりそうって言った」 「がぼん……」 「……俺のどこが好きなんだよ?」 「音楽デショ? 顔デショ? 体デショ? あとは……匂い?」 「……人間性はねーのか?」 「……音楽にその人の人間性が出るんデスよ」 「……あっそ」 「真一クンは?」 「……」 「のだめのどこが好きデスか?」 「……」 「ねぇ、真一クンはのだめのどこが好きなんデスか?」 「……ぐえっ! 重てーよ……」 黙りこんでいたら、のだめが俺の上に乗っかってきた。 「ちゃんと言ってくだサイ……」 のだめを見れば、めずらしく真剣な表情。 目を見たままなんて、恥ずかしくて言えるか? 「ぎゃぼっ……」 のだめの顔を胸に引き寄せ、抱きしめて顔が見えないようにする。 のだめの耳元に唇を寄せ、ささやいた。 「ピアノだろ? 顔もまぁまぁ……。あとは……」 「ぎゃぼっ!」 身体を反転させ、のだめをベッドに組み敷くと、俺は大好きなものに手を伸ばした。 欲望のまま衝き動かされるのも、たまにはいいだろ? --------END--- 真一クンだって、たまに不安になるという話。 そして不安を解消するために、ついアレに手を伸ばしてしまうという話(笑) SS indexに戻る |