芒果布甸/Mango pudding



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 First day






 「ぎゃぼっ!」


 俺のうしろで、アイツの奇声が響く。


 振り返ってみれば、真っ青な顔をして、身体を震わせて。


 「どうした?」


 「せせせせ先輩、どどどどうしまショウ?
 のだめ……みみみみ耳が聴こえまセン……」


 震える声で、驚きに大きく見開かれた瞳は潤んで、今にも大粒の涙がこぼれそうだ。


 「はぁ……耳みせろ」


 「はいっ?! 先輩、何か言いまシタ?
 はうっ! のだめやっぱり何も聞こえまセンっ!」


 至近距離で大声あげやがって……このバカが。


 俺はのだめに、耳をみせるようにジェスチャーで伝える。


 のだめは髪の毛を耳にかけると、足を一歩踏み出し、恐る恐る俺に近づく。


 くそっ。こんな状況で、そんな目で俺を見上げんな。


 俺の差し出した指が耳に触れた途端、のだめは身体をぶるっと震わせる。


 いまさら……恥ずかしそうに、頬を赤らめんじゃねぇ!


 「……ほら、ちゃんと聴こえるだろ?」


 「……ほえ? あ、あれぇ?」


 「アホか。集中したいからって、自分でしたんだろ?」


 のだめの両耳から取り出した耳栓を手のひらにのせ、目の前に差し出した。


 「ゲハ。そでシタ……」


 1ベルが鳴る。


 途端に不安そうな表情で、俺を見上げるのだめ。


 好きじゃいられなくなりそうで……


 あの時の台詞が脳裏をよぎる。


 「俺さ……すげー心配なんだけど」


 「……な、なにがデスか?」


 無防備に晒されたままの、のだめの耳元に唇を近づける。


 「お前がこれ以上俺に惚れたら、うっとおしいなと思って」


 「ぎゃぼ……」


 一瞬驚いたあと、あきれたように笑った顔に血の気が戻ったのを確認して、氷のように冷たくなった手を握りしめた。


 「なに? 緊張してんの?」


 「……してまセンよ。
 だってのだめ、この日のために先輩のネチネチ粘着なシゴキにも耐えたんデスから」


 「……世界中から出演依頼がくるんだよな?」


 「はい。楽しいこといっぱいデス……ぎゃぼっ!」


 のだめの身体を舞台に向かせ俺の前に立たせると、あの時のように背中から抱きしめた。


 「そういうことは、ステージを成功させてから言え……」


 「余計にドキドキするから、やめてくだサイよ……」


 「……バカ。いくぞ?」


 「は、はいっ!」


 客席から沸き起こる拍手が大きな振動となって伝わってくる。


 眩しいライトに照らされた舞台に立つために、俺たちは足を一歩踏み出した。




--------END---


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 皆サマのお手元には、もうイラスト集が届いたでしょうか?
 共演に向けて≠フ書き下ろしイラストから、二人の初共演の舞台袖を妄想してみました。
   

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